コーハウジング




コーハウジングとは

ひとこでいえば「個人の生活を尊重した共同生活」です。20世帯前後の人々が企画・設計段階から土地の取得、住宅の建設まで一貫して協力し、共同作業を行い新しい「住まい」をつくっていきます。あくまで普通の人との集まりであって、特定の思想や指導者などのもとでの共同生活ではありません。 「普通の人たち」が昔のような地域社会の連帯感をもって暮らしていこう、というだけの試みなのです。個々の世帯は個人所有の住宅を持ちますが、共同部分をつくり、ここで生活の一部をいとなみます。 ただし、共同生活への参加はあくまで自由意思であり、自分の家での生活を100%続ける事も自由です。あまり人と会いたくないような時には自分の家の部屋でゆっくりと静かに暮らすことも出来ます。従来、世界各地で見られた「共同生活」の試みとの最大の違いはこの「個人住宅と共同生活を共に尊重する」という姿勢にあります。


コーハウジングの歴史

この住宅形式はデンマークで生まれました。 1990年代、デンマークを訪れた建築家のキャサリン・マキャマント、チャールズ・デュレット夫妻は、ある一群の家々のたたずまいの不思議な温かさに惹かれます。 その家々に住む人々の生活ぶり、生活形態をアメリカに紹介したことから「コーハウシング運動」は始まりました。
アメリカで最初のコーハウシング住宅群はカリフォルニア州デイビス市の26世帯からなるミューア・コモンズです。 現在では、全米の大都市周辺などを中心に150箇所以上でこのコーハウシング社会が生まれています。


コーハウジングの特長



個人所有の住宅とコモンハウス
個々の世帯は個人所有の住宅を持ちます。 個人住宅は、あらゆる年齢や家庭状況など、それぞれのニーズに合わせた何種類かの設計パターンから選ぶことができます。 そして、個人住宅郡の中心に「コモンハウス」と呼ばれる共有の建物があり、このコモンハウスは、共同の食事をする食堂や子供の遊び場、倉庫や洗濯室など多目的に使われます。 このコモンハウスで住人達は共同で食事を作ったり希望者達が食事を一緒にします。


車の通らない道
駐車場をコミニュニティーの外側に配置することで、各住宅間の小道には基本的に車がとおりません。 コミュニティー内では子どもたちは交通事故の心配をすることなく走り回って遊ぶことができます。


仕切りのない庭
個々の庭を仕切らず、家々を寄せ合い、庭のスペースを互いに供出することで、広々とした「共有の緑地、共有のスペース」が生まれます。 そして、仕切られてはいませんが各家庭のプライベートスペースの「裏庭」を用意することも可能です。


自然発生的な交流とプライベートの両立
住民同士が親しくつき合いながら暮らすことによって、自然発生的に住民の間で助け合いが生まれます。 高齢者が子どもの面倒をみたり、年長の子どもが年下の子どもの面倒をみるといったことが日常的に行われます。
女性だけの世帯も不安感を感じることなく、共稼ぎの夫婦の子どもも寂しい思いをしません。
高齢者ををふくめ、住民たちは誰も孤独感を覚えない暮らし方です。
そして、一人になりたいときやプライベートな時間を過ごしたいときには、各自宅にその空間が確保されています。







2000年5月にカルフォルニア州にあるSouthsideParkCohousingを訪問し、コーハウシングにお住まいの方々に伺ったお話やコミュニティーの様子をまとめました。




2001年7月にカルフォルニア大学バークレイ校にて開催されたカンファレンスに参加報告です。